文 Krystina Boglar、 絵 Bohdan Butenko
2019年の秋に残念ながら世を去ってしまった、ポーランドの絵本画家ボフダン・ブテンコ(Bohdan Butenko 1931-2019)彼の描く、ひょろひょろっとした絵とユーモアが好きで、ファンレターも書き、過去には会うこともできた。彼の日本での代表作といえば、『しずくのぼうけん』(福音館書店)だが、ポーランドでは、それよりも、漫画の方が知られているかもしれない。
その「漫画」のなかでも、特に私が好きなのが、Gucio i Cezar 。この題名は主人公のカバさんとイヌさんの名前なのだが、カタカナで書くとグチョとツェザールとなる。カバのグチョは、体が大きくて、食べるのと寝ることに目がない。犬のツェザールはグチョの友だちで勇敢、グチョを助けてあげることが多い役。この二人(二匹?)が毎回何かの冒険にまきこまれるのだが、脇役も動物たちで、毎回ちがう。
このシリーズが最初にでたのは1968年。また、1976年~1977年にはアニメーションにもなったよう。下の画像は、4話目のNowa Wyparawa (あたらしいぼうけん)、2刷1973年、出版元はBiuro Wywawniczo Propagandowe 。古本屋で留学時代に手に入れたもので、所有者であった子どもの落書きや色塗りがしてあり、状態はよくないが、グチョが重くて船が傾いているようすや、のこぎり魚(サメ?)の顔が何とも。
その後復刊されたりして、現在ポーランドではDwie Siostry社が2011年に出した合本版がある。(1kg弱あり、ちょっと重い!)表紙の絵はもちろんブテンコだが、ちょっと二匹とも丸くなり、彼の後期の画風だと分かる。(分かる?)
この漫画のおもしろさは、次々と起こる予想外の事件と、登場動物たちのあまりにもリアルでない姿だと思う。表紙以外は全てモノクロの線とコマ割りの大小だけで、シンプルきわまりないのに、ひきつけられてしまうのは、私だけであろうか?近年はスイスやスペインの出版社からも翻訳がでているので、私も日本でのグチョファンを作りたいと密かに行動中である。
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